近年注目を集めているのが「ファンマーケティング」です。これは顧客を熱狂的な支持者に変えて、安定した売上とブランド忠誠度の向上を目指す手法です。
今回の記事では、ファンマーケティングの概要、ファン化のプロセス、ファンマーケティングの成功事例、ファンコミュニティの作り方などをご紹介していきます。ファンマーケティングに興味がある人や、これからコミュニティサイトを作ろうと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
ファンマーケティングとは
近年ではSNSを通じて、情報発信や情報収集を簡単に行うことができます。この環境下において、企業からの一方的な発信よりも、実際の使用者の口コミや生の声が大きな影響を与えるようになってきたのです。
ファンによるポジティブな口コミは強い影響力を持ち、「バズる」可能性があります。ファンマーケティングはこうした熱意のあるファンを活用して、製品やブランドの信頼性や可視性を高める効果的な手法として、注目されています。
一方で、口コミにはネガティブな意見も存在します。ネガティブな意見を的確に捉え参考にし、商品やサービスの改善に反映させることも重要です。
ファンマーケティングの市場規模
アイドルやタレントなどの「推し」の広告を、消費者自らが出稿して応援する「応援広告」をご存じでしょうか。2023年度の市場規模は推計377億円で、前年度の約1.16倍(約52億円増)と拡大していることが分かりました。
2023年12月から2024年1月にかけて実施された、「推し活・応援広告調査2023」の結果を、ジェイアール東日本企画が21日に発表したことで判明したのです。
なお、これは2023年の屋外・交通広告費の約10%とされています。出稿未経験者にも応援広告の価値が浸透していることが、拡大の要因として考えられています。
ファンマーケティングはアイドルが上手?
自分の好きな人や物にお金を支払う「推し消費」を促進し、自社商品・サービスの売上拡大をめざすファンマーケティングの手法を「推し活マーケティング」といいます。これはアイドルが上手に行なっている手法です。
推し活には、消費を通じて推しの夢や活動をサポートできる魅力があります。ライブへの参加、購入したグッズをSNSで共有など、体験によって得られる幸福感や達成感がファンを定着させるのです。
ファンづくりをするメリット
ファンづくりの重要さを認識するためにも、「ファンづくりを行うメリット」をみていきます。確認することでファンづくりを進めていく、モチベーション向上につながるはずです。
それでは下記を順番に解説していきます。
・リピート購入
・良い口コミを広めてもらえる
リピート購入
ファンづくりをするメリットに「リピート購入」があります。製品やブランドの顧客が「ファン」になることで、長期間にわたって継続的に製品購入や、サービス利用をする可能性が高くなります。
良い口コミを広めてもらえる
「良い口コミを広めてもらえる」のも、ファンづくりをするメリットのひとつです。「ファン」になった顧客は、SNS上のフォロワーや、家族や友人などに自発的にサービスを推薦してくれます。
このような口コミはほかの消費者に影響を与える力があり、広告や公式のプロモーションよりも高い信頼性を持つのです。
ファン化のプロセスとは?
ファンづくりをするメリットを把握したところで、次は「ファン化のプロセス」について解説していきます。
- 顧客のペルソナの設定
- 想定したペルソナにあったアプローチ
- 顧客と信頼関係の構築
どのようにファン化を進めていけばよいのか、確認してみてください。
顧客のペルソナの設定
最初に「顧客のペルソナの設定」を行います。顧客のニーズを把握するために、自分達の顧客になるのはどのような人なのかを想定します。
年代・性別・職業といった基本属性と、消費行動やユーザー意識をできるだけ具体的に複数設定するようにしましょう。
ペルソナ設定がより細かく具体的になるほど、想定される顧客のニーズに沿った商品・サービスを提供することが可能になります。
想定したペルソナにあったアプローチ
次に「想定したペルソナにあったアプローチ」を行いましょう。顧客のペルソナがある程度固まったら、そのペルソナ像のひとりひとりに合ったアプローチを実践していきます。
その際には、顧客の購入履歴や基本情報も活用するのがオススメです。分析データを活用することで、購入する商品の傾向、顧客が何に魅力を感じているかなどを把握することが可能です。
顧客と信頼関係の構築
最後に「顧客と信頼関係の構築」することも忘れないようにしましょう。想定したペルソナにあったアプローチを行なうと、顧客のファン化を目指すために必要なことが見えてきます。
その結果をまた分析して、アプローチすることを繰り返していきます。そうすることで、すでにファンである顧客との信頼関係をさらに強化することが可能です。これにより、まだファンではないユーザーを、ファン化させる可能性も高くなります。
ファンマーケティングの成功事例
ファンマーケティングのイメージができてきたので、ファンマーケティングの成功事例をご紹介します。参考になることは、採り入れることがオススメです。
スターバックス
世界的に有名な「スターバックス」は、ファンマーケティングを採り入れるいます。「My Starbucks Idea」という、スターバックスに関するアイデアを投稿できるWebサイトを立ち上げているのです。
ここでファンの声を聞くという施策を行なっています。このサイトには、公開から2か月間で約41,000件ものアイデアが寄せられました。
そこに寄せられた、スターバックスが抱えている問題点や課題を真摯に受け入れて改善を重ねた結果、業績不振から抜け出したという過去があります。
株式会社MAPPA
アニメーション制作会社の「株式会社MAPPA」は、プロデュース会社の「株式会社ジェンコ」と映画監督である「片渕監督」と共に、クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げました。
「この世界の片隅に」という劇場版アニメの制作を、目的にしていたのです。プロジェクトページに作品に対する熱い想いや、制作過程を載せました。その結果、ユーザーからの共感と作品への興味を得ることに成功したのです。
資金を提供してくれたファンに対し「制作支援メンバーミーティングの参加権利」を用意しました。そうして、一般のマスコミにも出ていない作品の情報を伝え、作品に愛着を持ってもらえるように工夫を凝らしたのです。
さらにSNSなども活用し、最終的には映画公開のための資金約3,900万円を調達することができました。
*参考 アットプレスのホームページ
ファンづくりをしている企業
ここからは「ファンづくりをしている企業」をご紹介していきます。ファンを大事にした企業の活動とはどのようなものなのかを、確認してみてください。
ワークマン
「ワークマン」は、作業服・安全靴の製造・小売を行っている企業です。ワークマンでは「ワークマン公式アンバサダー」とともに、製品開発やプロモーション活動を行っています。
「ワークマン公式アンバサダー」とは、ワークマン製品が好きで継続してワークマン製品を発信してくれる人や、専門分野に精通していて製品開発の助言をしてワークマンを応援してくれる人が認定されています。
認定された人は新製品発表会へ招待されます。このためいち早くワークマン製品を見ることや、発信することが可能です。また新製品のモニターやアンケートをお願いされることもあります。
*参考 ワークマンのホームページ
丸亀製麺
「丸亀製麺」は、讃岐うどんの専門店です。ソーシャルメディアで丸亀製麺ファンと、積極的にコミュニケーションを行っています。
X(旧Twitter)公式アカウントではユーザーのクチコミをRT(リツイート)して、フォロワーの利用意向の促進に取り組んでいるのです。自身の投稿をRTされたユーザーは、丸亀製麺への好意度が上がります。
また2019年にはコラボレーション企画として、株式会社桃屋の提供している商品「江戸むらさき ごはんですよ」などをうどんのトッピングとして提供することを実施しました。
プロモーション前にファンミーティングを行い、ファン目線によりその場で誕生した新しい食べ方を、プレスリリースなどの発信に盛り込んだのです。そうして、多くのメディア露出や売上に貢献しました。
*参考 ホットリンクのホームページ
ファンができたらファンコミュニティを作ろう
ファンができたのならば、次に「ファンコミュニティ」を作ることが重要です。ファンコミュニティでは、掲示板やチャットなどでユーザーの意見や興味関心などをリアルタイムで確認できます。
共通の関心を持つファン同士だからこそ、本音を語り合うことが可能です。そのため、従来のアンケートやインタビューでは得られない、消費者の潜在的なニーズを発見することが期待できます。
ファンコミュニティとは
それでは「ファンコミュニティ」とはどのようなものなのかを、解説していきます。特定のものに対する熱心なファンが集まる場のことを、「ファンコミュニティ」といいます。
「ファンコミュニティ」では、運営者とファンのそれぞれが情報発信することが可能です。ファンが新しいファンを呼び込むという構造になっているので、徐々に規模を大きくするという構図になるのです。
この点が多くの企業に注目され、有名企業でもファンコミュニティを活用した、コミュニティ・マーケティングが実施されています。
コミュニティサイト作りをしてみよう!
ここからは、実際に「コミュニティサイト」を作る流れをご紹介していきます。
- 目的を明確化
- プラットフォームの選定
- コンテンツの考案
- ユーザー参加費の決定
- 参加者募集
- 利用ルールを決める
- コミュニティサイトの運営
まずは「目的を明確化」して、どのような価値を提供するか考えます。次に「プラットフォームの選定」です。コミュニティを運営するために、どのようなプラットフォームを利用するかを選びます。
そして、サイトの中で発信する「コンテンツの考案」を行います。コンテンツ内容の発信手段には、テキスト・音声・動画・ライブ配信などが考えられます。スムーズにコミュニティ運営を行うには、毎週何曜日の何時にリリースするかなど、発信頻度も考えるようにしましょう。
その後は「ユーザー参加費の決定」をします。コミュニティに参加するための費用を決定します。参加費用は大きく分けて、有料と無料の2パターンがあります。
有料の場合は、有益な情報をユーザーに提供する代わりに参加費をもらうイメージです。複数プランを用意するとユーザーが入会しやすくなるでしょう。
そして、いよいよ「参加者を募る」活動をします。コミュニティサイトを立ち上げたら、参加者を募りましょう。SNSやブログなどを利用して、興味を持つ人たちにアプローチすることも可能です。また宣伝手段のひとつとして、広告を利用する手もあります。
その後に「利用ルールを決める」ことも重要です。コミュニティサイトを利用するにあたっての利用ルールやガイドラインを定めることで、トラブルを未然に防ぐ効果があります。
最後に「コミュニティサイトの運営」です。参加者を集めたら、コミュニティサイトを運営します。運営方法はコミュニティの目的や性質によって異なりますが、基本的には参加者の意見を聞いたり、定期的に情報を発信したりします。
ファンコミュニティサイトの成功事例
最後に、「ファンコミュニティサイトの成功事例」をご紹介します。実際にファンコミュニティサイトを作る際に、参考になる部分は実践するのがオススメです。
ネスレ
スイスに本社を置く「ネスレ」は、日本ではコーヒーのメーカーとして有名な食品・飲料の会社です。カプセル式本格カフェシステム「ネスカフェドルチェグスト」サービスを展開しています。
このサービスのユーザー向けコミュニティである「ネスカフェ・ドルチェ・グスト・ロイヤルティクラブ」を運営しています。
このコミュニティのユーザーの意見が、商品開発やマーケティング戦略に活用されているのです。
コミュニティ内では「新しいカプセルを試したいが、ケース単位は多過ぎる」「ケース単位では余るから、箱単位がいい」という意見があり、この意見がサービス展開に反映されています。
アテニア
横浜に本社があり、化粧品や健康食品、アパレル商品を取り扱う会社が「アテニア」です。アテニアはファンコミュニティサイトを活用することで2度のV字回復を経験しています。
アテニアは2度にわたる低迷期を経験しており、そのたびにファンコミュニティサイトの意見を活用してきました。ファンコミュニティサイトでは、本音が豊富に集まるという性質があります。
本音だからこそ、企業が思いつかないメリットや魅力を発見し、販売手法やプロモーションにも影響するのです。
また、コミュニティに参加して日が浅いライトユーザーが、ヘビーユーザーの熱弁に影響を受けるケースもあり、良い循環を生み出すとも考えられています。
*参考 産経ニュースのホームページ
まとめ|ファンコミュニティサイトでファンを活性化
「ファンマーケティング」は、企業が今後成長していく上では欠かせない要素です。この戦略を積極的に採り入れて、具体的な行動に移していってください。
また現状すでに何らかのファンを持ってはいるけれど、きちんとしたコミュニティを持っていない人は、まずはファンコミュニティサイトを作ることから始めてみましょう。
そうしてファンを活性化して、従来のアンケートやインタビューでは得られない消費者の潜在的なニーズを発見し、新たなサービス展開に反映させるのがオススメです。
wownでは、そういったお客様にFAZZYという顧客をファン化するためのファンコミュニティシステムを立ち上げました。
まずはお気軽にご相談ください。
WEB制作・ITに関するお悩みや
ご質問等お気軽にご相談ください